【法人必見】屋根修理は費用として認められるのか?屋根の減価償却や修繕費について詳しく解説

減価償却

屋根修理は経費として認められるのか? 法人を持っている方は、使ったお金が、経費となるのか資産に計上されるのかはとても気になる点であると思います。
必要な修繕であれば、経費として認められるような気もしてしまいますが、しっかりと屋根修理やリフォーム費用が税法上どのような扱いとなるのかしっかりと確認をしておきましょう。
こちらの記事では、屋根修理に関しての税法上の考え方、資本的支出、修繕費、減価償却等について詳しく解説をしていきます。

修繕費と資本的支出とは?

住宅と費用

まずは、経費として認められるかどうかについては、かかった費用が修繕費なのか資本的支出なのかが重要です。
それぞれの文言について解説をしていきます。

修繕費

修繕費は、資産の維持管理に必要な修理や、壊れた部分を元の状態に戻すための修理に掛かる費用のことです。
工事がこの修繕費として認められれば、費用として認められます。
ただし、修理だけでなく付加価値を加えるような工事を行った場合は、資本的支出にあたります。

資本的支出

資本的支出は、資産の価値や耐久性を高めるための工事に掛かった費用のことです。
修理といいつつ、耐用年数の長い素材を使ったり、美装工事などを行うと、修繕費ではなく資本的支出に該当します。
どこまでが修繕費で、どこまでが資本的支出なのかは判断が難しいため、後述するポイントに置き換えて考えていきましょう。

会計処理の期間について

修繕費の場合は、その年に掛かった費用を全額まとめて計上します。
しかし、資本的支出の場合は耐用年数に応じて減価償却しなければなりません。
減価償却とは、かかった費用を何年かにわけて少しずつ計上していくことです。
固定資産の耐用年数は品物ごとに法律に定められているため、屋根の耐用年数に応じて決まります。
例えば、葺き替えた屋根の耐用年数が10年の場合は、修理をした日から10年間毎年費用の計上をおこなうことになります。

屋根の減価償却について

屋根修理の減価償却について、その耐用年数を見ていきましょう。
耐用年数は建物や材質によって異なります。
あくまで参考としてご確認いただき、詳しいことは専門家に相談をしてみましょう。

 建物材質 耐用年数(住宅) 耐用年数(事務所)
木造モルタル 20年 22年
金属造
(厚さ3mm超4mm以下)
27年 30年
金属造
(厚さ4mm超)
34年 38年
RC造・SRC造 47年 50年

建物にはそれぞれ上記のような法定耐用年数が決められており、減価償却の期間もそれに合わせて決定します。
耐用年数20年の屋根を、償却期間残り10年で修理すると、残りの10年が償却期間に適用されます。

減価償却の方法は2種類

減価償却の方法は「定額法」と「定率法」の2種類です。
それぞれ減価償却費の金額が異なるため、注意しましょう。

 減価償却の計算方法 詳細
定額法 毎年一定額を償却する。
個人のすべての資産は定額法で計算
定率法 資産を取得した初年度は高く、経過とともに低くなる。
平成10年4月1日以降に取得した建物以外、法人は定率法を使用

個人・法人どちらの資産か、いつ取得したものかで減価償却の計算方法が変わってきます。保有している建物がどちらの計算方法か判別できないという方は、担当の税理士にお問い合わせください。

修繕費と基本的支出の考え方

オフィスワーク

では、ここまで修繕費や基本的支出、減価償却について解説をしてきましたが、どのようなケースで修繕費となるのか、基本的支出となるのかを見ていきましょう。
修繕費は帳簿上で経費となり損益計算書に記載されますが、資本的支出は資産に計上し、減価償却が必要になります。
修繕費と資本的支出で納める税金の額が変わってきますので、よく確認しておきましょう。

基本的支出になる屋根修理

先ほども少し触れましたが、基本的支出は建物の資産価値を増加させる工事は、基本的支出となります。
具体的には、屋根の耐久性の向上、建物に新しい用途を付け加えるような工事や、室内の床を張り替えてバリアフリー化する工事、耐用年数が長い機能性のある塗料で屋根を塗り替える工事が基本的支出に該当します。
資本的支出とみなされた場合は、決められた耐用年数から減価償却を行います。

修繕費として認められる屋根修理内容

災害などで建物の現状を回復する目的で行われる修理や、建物の機能を維持するための工事費用は「修繕費」として計上することが可能です。
例として、次のような屋根工事が修繕費とみなされることが多いです。

  • 雨漏り修理
  • 防水工事
  • 屋根機能を維持するための補修
  • 屋根の原状回復

修繕費は経費としてみなされるため税金対策となりますが、資本的支出との線引きは難しくなります。
こちらは修繕費と認められたケース、認められなかったケース様々ありますので、担当税理士に相談をしてみましょう。

ほとんど修繕費として認められるケース

修繕費と基本的支出の線引きが難しいところはありますが、金額や修理の周期によっては、明確に修繕費に計上できるケースがあります。
以下のような場合では無条件で修繕費に計上できます。

  • 修理費用が20万円以下
  • 修理周期が3年以内
  • 修理費用が60万円未満または前期未取得額の10%以下
  • 割合区分による方法を採用

割合区分とは「支出金額の30%」か「前期未取得金額の10%」のいずれか少ない金額を修繕費として、残額を資本的支出とする分け方のことです。

基本的支出で注意するケース

修繕費と基本的支出の考え方では、費用の総額から修繕費を差し引いた金額が基本的支出となります。
そのため、例えば通常の塗料であれば200万円の費用が掛かるが、耐用年数が長く価格が高い塗料を用いて300万円掛かったケースがあると仮定します。
この場合、修繕費と認められるのは200万円までで、残りの100万円は資本的支出となり課税対象となります。
このように、屋根修理に掛かった全額が修繕費か基本的支出のどちらかすべてに分類されるわけではなく、内容によって分けられるケースも覚えておきましょう。

屋根修理を減価償却できる事例

ガルバリウム鋼板工事

一方で、減価償却となる屋根修理の事例も紹介していきます。
こちらもうまく活用していきましょう。

屋根材を瓦屋根に変更する

屋根修理の際に、すべての屋根材を交換する葺き替えを行うことがあります。
この際、屋根材を自由に選ぶことができますが、瓦屋根に変更する場合は資本的支出に該当することが多いようです。
これは瓦屋根の耐久性などから、基本的支出と見なされるようです。
耐用年数としては、トタン屋根などの金属屋根の10年から20年に対し、瓦屋根は50年ほどとなります。

耐用年数の長い塗料を使用した場合

屋根修理の中には、屋根塗装があります。
屋根塗装で修繕費として認められる場合は、同じような塗料で、耐用年数が同程度のものを使用した場合です。
しかし、耐用年数が長い新しい塗料や最新の塗料を使うと、資本的支出に該当する場合があります。
これは、耐久性の向上に当てはまるため、不動産価値が向上すると考えられるからです。
ただし、これは非常に判断が難しい問題です。
以前使っていた塗料と全く同じというわけにもいかないと思いますので、ここは専門家に相談をしながら使用する塗料を決定しましょう。

太陽光パネルの設置

屋根修理とは異なりますが、太陽光パネルは資本的支出に該当します。
これは、太陽光パネル自体の費用だけでなく、設置にかかる屋根の工事も対象となります。
そのため、屋根修理のついでに太陽光パネルを設置しようとして、修理部分だけを修繕費として計上しようとしても、それが認められない可能性があります。
こちらも最終判断は状況に応じて専門家が判断を行いますが、基本的に太陽光パネルに関わる工事は減価償却が発生すると考えましょう。

まとめ

今回は屋根修理が経費として認められるのかについて詳しく解説をしてきました。
最終的な判断は税理士や税務署の判断になるため、決まった回答を出すことはできません。
しかし、基本的に修理ということであれば、経費として認められることが多いようです。
修理が必要になったときは、同じように修理をする。
より丈夫にしたい、より綺麗にしたいというときは資本的支出になるというところをしっかりと頭に入れておきましょう。
法人を持っている方は、この税金問題は常に頭を抱えているところであると思います。
この屋根修理もぜひ正しい方法で、賢く修理をしていくと良いでしょう!

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