トタン屋根で雨漏りが発生したら?修理方法や費用について詳しく解説します

トタン屋根

トタン屋根は、古くから屋根材として親しまれてきました。
日本では、築30年以上の建物でよく見られ、加工がしやすく安価であるため、多くの住宅や倉庫などで用いられてきました。
近年では他の屋根材が出てきたため、新築住宅での需要は徐々に減っていますが、まだまだ多くの家庭の屋根材として活躍をしています。
しかし、トタン屋根が使われている住居の多くは築30年以上が経過しています。
そのため、メンテナンスを行っていないと、劣化が進み雨漏りが発生しやすい状態になっている可能性が非常に高いです。
今回、こちらの記事ではこのトタン屋根について、その特徴や雨漏り時の対処法、修理費用の目安などを紹介していきます。ぜひ参考にしてください。

トタン屋根とは?

サビたトタン屋根

まずトタン屋根とは、「亜鉛メッキ鋼板」と呼ばれる板材のひとつで、鉄板の表面に薄い亜鉛の膜を付けたものです。
加工性が高い点が特徴で、屋根材以外でも外壁材としてもよく使われています。
ただし、、現在では徐々に需要が減ってきてしまっている屋根材でもあります。
トタン屋根は、一般的にトタンと垂木と呼ばれる木でできた棒と組み合わせて作られています。垂木はトタン屋根に強度を持たせることができ、瓦棒屋根とも呼ばれています。
トタン屋根は、加工がしやすいだけでなく、新品の状態であれば雨漏りもしにくいため、1980年代までは一般的な住宅だけでなく、アパートなどにも使われていました。

トタンの寿命について

新しい住居にトタン屋根が使われることは少なくなりました。
その理由として、耐用年数が短いという点があげられます。
トタン屋根の耐用年数は10年ほどと言われており、屋根材としては非常に短いです。
10年ですべて張り替えというわけではなく、再塗装を重ねることで寿命を伸ばすこともできますが、塗装を何度もするとヒビや剥がれが発生しやすくなります。
塗装ができなくなると、鋼板がむき出しの状態になり、そこからサビや腐食が発生し、雨漏りにつながります。
そのため、トタン屋根は長年使えるわけではなく、途中で必ず葺き替えや張り替えが必要となります。
ぎりぎりまで寿命を伸ばそうと使い続けると、かえって屋根の下地まで傷めてしまうことになります。
下地まで含めたリフォームはかなり高額になってしまうため、ぎりぎりまで使用することはおススメできません。
また、屋根材の下にあるルーフィングと呼ばれる防水シートも、20~30年で防水効果がなくなります。

トタンのメリットとデメリットについて

メリットデメリット

ここまでトタン屋根の特徴について解説をしてきました。
こちらでは、その特徴を踏まえて、トタン屋根のメリットとデメリットをそれぞれまとめていきます。

メリット

  • 価格が安い
  • 非常に軽く建物に負担が少ない
  • 新品の状態は防水性が高い
  • 加工しやすい

一番のメリットは、価格が安いことです。
安価で入手することができたため、次々と新しい家が建つ、高度経済成長期には非常に重宝された素材です。
また、トタンは安いだけではなく、非常に軽く、軽量であるため建物にかかる負担が軽くなります。
そのため、建物が揺れに強くなるため耐震性が上がり、地震などの被害を抑えてくれます。
また、加工や施工がしやすいため、施工時間が短くなり、工事費用を安く抑えることも可能です。
加えて、トタンは継ぎ目が少ないため防水性がとても高く雨漏りしにくい形状をしています。時間が経つと雨漏りに繋がりやすいですが、新品の状態であればかなり防水性が高い素材です。

デメリット

  • サビやすい
  • 傷やへこみができやすい
  • 雨音がうるさい
  • 断熱性が悪いので夏場は暑い

デメリットとして多く上げられるのが、まずサビやすいという点です。
メンテナンスをすることで抑えることはできますが、少しでもメンテナンスを怠ると直ぐにサビてしまいます。
毎日サビていないかチェックすることは難しいため、定期メンテナンスが非常に重要となります。
また、加工がしやすい一方で、傷やへこみも発生しやすいです。
傷やへこみがあると、そこに雨水が溜まりやすくなり、これもサビに繋がります。

トタン屋根へのダメージ以外でも、雨音が大きくなるという点も気になります。
特にゲリラ豪雨のような大雨の時には、屋根を打ち付ける音がとても大きくなります。
そのため、日常生活でストレスを抱えてしまうことも考えられます。
また、トタンは断熱性が悪く、建物全体が夏場は暑くなります。
近年の夏の酷暑は大きな問題となっているため、トタン屋根の場合は家の中でも体調に注意が必要です。

トタン屋根で雨漏りが起こる原因について

破損したトタン屋根

トタン屋根で雨漏りが起こる原因について解説をしていきます。

サビによる穴あき

トタン屋根のデメリットとして、サビやすい素材であることがあげられます。
このサビを放置してしまうと、徐々に劣化が進んでいき、最終的に穴が開いてしまいます。
この穴から水が侵入することで、雨漏りとなってしまうことが原因の一つとして考えられます。

棟板金の剥がれ

棟板金とは、屋根の頂上部分をカバーしている板金のことです。
頂上は屋根が重なっている場所であるため、隙間が生まれやすく、そのためこの棟板金を使って隙間に雨水が侵入することを防いでいます。
しかし、この棟板金が風で剥がれてしまった、壊れてしまったとなると、隙間から雨水が侵入してしまいます。
この棟板金は、飛ばされないように釘で固定されていますが、長年の経年劣化や台風などの強風によって飛ばされてしまう被害は、毎年多く報告されています。
特に台風などの自然災害の後には、充分注意しましょう。

トタン屋根の剥がれ

棟板金だけでなく、トタン屋根自体が剥がれてしまうことも考えられます。
トタン屋根は軽い素材で出来ているため、建物への負担が少ないメリットがありますが、突風などの風にはあまり耐性がありません。
そのため、長年の経年劣化で釘が緩んでいるような場所は、突風が吹くと一気に剥がされてしまう可能性があります。
屋根がめくれてしまえば、下地がむき出しになってしまい、そこから雨漏りには当然つながります。
こちらも特に台風などの自然災害時には、注意しておくべきポイントです。

すがもり

すがもりとは雪国特有の事象で、雪や固まった氷が屋根に滞留し、排水が出来なくなり、行き場の無くなった水分が屋根の継ぎ目から建物内部に浸入してしまうことを言います。
厳密には雨漏りとは異なりますが、建物内に水分が侵入してしまうという点では変わりありません。
トタン屋根は平らな形状をしているため、雪国では多く採用されています。
また、屋根からの落雪を防ぐために勾配を緩くしている屋根も多くあります。
しかしその反面、このすがもりのようなリスクも存在しています。
これは積雪時期にのみ起こることですので、 時期が終わったら屋根の状態を必ず点検し、トタンの寿命に合わせて適切なメンテナンスを行うといったことが必要です。

トタン屋根の修理方法について

トタン屋根修理

では、実際にトタン屋根で雨漏りが発生してしまった際の修理方法について解説をしていきます。

屋根の塗装や研磨

まずは、屋根の塗装や研磨です。
屋根材自体を交換せずとも、屋根の塗装で修理できることがあります。
例えば、軽度の穴あきであったりサビがまだ大きく広がっていない場合は、屋根の塗装と研磨で修復が可能です。
また、屋根全体的に塗装がはがれていた場合は、全面塗装するのも1つの方法です。
塗装は、見た目を美しくする効果と同時に、表面に塗膜を張ってサビなどの劣化を防ぐ役割もあります。
特にトタン屋根は、この塗装が重要になるため、10年に1回は塗装をおススメします。

カバー工法

カバー工法は既存の屋根材の上に、新しい屋根材を被せる工法です。
既存の屋根材を撤去しないため、リフォーム費用を抑えることができます。
ただし、既存の屋根をそのままにするため、下地やルーフィングの状態が確認できないデメリットがあります。
そのため、既存のトタン屋根が錆びていたり、穴が空いているという場合にはおススメできない工法です。
また、屋根を二重に被せているため、耐震性が落ちてしまいます。
軽い点がトタン屋根のメリットでしたが、カバー工法ではそのメリットを消してしまいます。
ただし、カバー工法でデメリットを消すこともできます。
カバー工法では、下の屋根と被せる屋根の間に空気の層を作ることができます。
この空気の層によって断熱性を上げることができますので、夏に暑くなるというデメリットが解消されます。
また、屋根が二重になることで雨音も小さくなります。
トタン屋根の状態が悪くないのであれば、メリットのあるカバー工法もおすすめです。

葺き替え工事

葺き替え工事は、既存の屋根材を取り除いて新しい屋根材にすべて取り替える工法です。
カバー工法よりも手間や廃材の処分が必要となるため、費用は高くなります。
しかし、屋根の下地の状態を目で確認することができるため、屋根全体のメンテナンスを行うことができます。
トタン屋根は劣化がしやすい素材であるため、通常はこの葺き替えが一般的です。
リフォーム業者としっかり相談をしながら、工法を決定していきましょう。

部分補修

上記は屋根全体を修理する方法でしたが、もちろん部分的な補修も可能です。
トタン一枚を交換したり、穴あき部分を補修したりといったことの修理は可能です。
ただし、このような補修はどうしてもその場しのぎの応急処置となってしまいます。
修理が必要と感じた場合、修理業者に相談をしたうえで、どのように進めていくのかしっかりと道筋を決めていきましょう。

ガルバリウム鋼板の台頭

ガルバリウム鋼板屋根

トタン屋根の葺き替えや交換を検討すると、近年ではガルバリウム鋼板への交換が一般的なようです。
では、ガルバリウム鋼板にすることでどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

ガルバリウム鋼板のメリット

ガルバリウム鋼板がトタンよりも優れている最も大きなメリットは、メッキが3~7倍も長持ちするという点です。
そのため、トタンのように短いサイクルで再塗装をする必要がありません。
それぞれの素材は、
トタン:亜鉛めっき
ガルバリウム鋼板:亜鉛+アルミ+ケイ素めっき
で作られています。
ガルバリウム鋼板では、アルミを原材料とすることで、メッキの寿命を伸ばし、錆の発生を防ぎます。
問題がなければ、30年以上問題なく使い続けることができるため、ランニングコストを抑えることができます。
メンテナンスも最小限で済むため、トータルコストを考えて、近年ではガルバリウム鋼板が主流となってきました。

トタン屋根の工事費用

業者の費用提示

では、最後に工事費用について確認していきます。
こちらはあくまで相場となるため、実際はいくつかの修理業者に見積もりを取ってもらい、その中から納得した金額で工事してもらうようにしましょう。

 工事内容 工事相場
部分張り替え
4,000円/㎡
ビ部分の研磨塗装
4,000円/㎡~6,000円/㎡
カバー工法(トタン) 7,000円/㎡
カバー工法(ガルバリウム鋼板) 9,000円/㎡
葺き替え(トタン) 9,000円~12,000円/㎡
葺き替え(ガルバリウム鋼板) 11,000円~14,000円/㎡
棟板金交換
3万円~10万円
 塗料の種類 耐用年数 費用相場
ウレタン塗料
8年~10年 1,800円/㎡~2,000円/㎡
シリコン塗料 10年~15年 2,000円/㎡~2,500円/㎡
フッ素塗料 15年~20年 3,000円/㎡~4,000円/㎡
遮熱・断熱塗料 15年~20年 3,000円/㎡~5,000円/㎡

カバー工法や部分的な張り替えは安く抑えることができますが、数年後にまたメンテナンスが必要な工法です。
ただし、カバー工法にするかどうかは屋根の状態によって変わりますので、まずは業者に屋根の状態をチェックしてもらい、相談しながら最適な方法を選びましょう。
屋根の塗装に関しては、塗料によって耐用年数や相場が変わってきます。
こちらも修理業者と相談しながら、適切な塗料を選ぶようにしましょう。

まとめ

今回はトタン屋根の雨漏り修理について解説をしてきました。
トタン屋根は、日本の高度経済成長時期を支えた屋根で、今でも多くの住宅で使用されています。
しかし、サビやすく剥がれやすい屋根材であることもあり、雨漏りが発生しやすい屋根とも言えます。
現在はガルバリウム鋼板などの新しく、耐久性に優れた屋根材に変わっていますので、ぜひこの機会に屋根の修理や葺き替え等を検討してもいいかもしれません。
時代や環境に合わせて住宅も屋根もどんどん変化をしていくため、自宅に最も適した屋根材が何かを考えていきましょう。
困ったことがあれば、ぜひ屋根修理の専門業者に相談してみてください!

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