2022年12月15日に東京都では新しく建てた住宅にソーラーパネルを設置することを義務付けました。
太陽光発電は、家庭で使用する電気を自家発電することで光熱費削減をすることができ、余った電気を売却することで収入を得ることができるため、導入を検討している方も多くいらっしゃると思います。
しかし、ソーラーパネル、太陽光パネルを設置すると雨漏りのリスクが高まるともいわれています。 そこで今回は、ソーラーパネル設置後に起こる雨漏りの原因や、その対策方法について解説をしていきます。
ソーラーパネルを導入するメリットだけでなく、設置した後のデメリットや注意点をしっかりと抑えておきましょう。
ソーラーパネル導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
ソーラーパネルの義務化について

2022年12月15日に東京でのソーラーパネルの義務化が正式に成立しました。
このソーラーパネル義務化の法案は、家を所有している家庭全てにソーラーパネルの設置を強制するのではなく、大手ハウス住宅メーカーが延べ床面積2000平方メートル未満の新築住宅に対して、以下を報告するように義務付けたものです。
- 太陽光パネルなどの再生可能エネルギー設備を設置できる住宅の供給数
- 地域ごとに日当たりの条件に応じた係数
- 一棟あたり2kwとする基準量を掛け合わせて算出された発電量の目安の達成状況
特に罰則等は設けられていませんが、取り組みが不十分と判断された場合には、東京都からの助言及び指導、それでも改善がない場合は事業者名の好評を検討するとされています。
ソーラーパネル設置義務化の背景とは
では、なぜソーラーパネル設置が義務化されたのかについて解説をします。
東京都によると、現在東京のCO2排出量のうち約7割が建物に起因しており、脱炭素化を実現した社会を目指すには、建物への対策が急務であるとしています。
そして、2050年には現在の建物の約半数、一般家庭住宅であれば約7割が新築住宅に建て替わるとされており、将来的により良い都市環境を作り出すための対策として、義務化が決定されました。
また、2015年に採択されたパリ協定では、全ての国が温室効果ガスの削減に取り組むように定められ、それぞれの国が掲げた目標に向かって対策を行っています。その中で日本では、2030年までに温室効果ガスを46%削減を目標としているため、その取り組みの一環としてソーラーパネル設置の義務化がなされました。
現在は東京都が対象ですが、これから全国的に義務化となる可能性は充分に考えられます。実際、京都府では限定的に義務化がされており、群馬県でも限定的に義務化
される予定です。
日本全国での取り組みですので、これからますます義務化の流れが進んでいくと予想されます。
ソーラーパネル設置後に雨漏りが起こる原因について
では、ソーラーパネルを設置した後に雨漏りが起きる原因について解説をしていきます。
ソーラーパネルを設置した後に起こる雨漏りで、最も多い原因は施工者の技術不足です。
ソーラーパネルには、屋根一体型と屋根置き型の2種類があります。
このうち、屋根一体型住宅用ソーラーパネルは屋根の穴を開けずに設置ができるため、雨漏りの可能性は低くなります。
しかし、屋根置き型住宅用ソーラーパネルは、屋根と屋根の下の防水シートに穴を空けて固定するため、雨漏りの可能性が高くなります。
そのため、設置した後にしっかりと穴をふさぐなど雨漏りに対する知識を持ち合わせた施工者でないと、雨漏りが発生する原因となります。
その他、施工者の技術不足以外にも雨漏りの原因はあります。
例えば、ソーラーパネルの設置が難しい屋根や、屋根の劣化が進んでいる屋根など無理矢理ソーラーパネルを設置した場合は、その歪みから雨漏りが発生する可能性が高くなります。
ソーラーパネル設置後の雨漏り修理費用

では、ソーラーパネルを設置した後の雨漏り修理費用は、どの程度掛かるのか確認しておきましょう。
こちらは、修理方法や規模等によって値段は変わりますので、あくまで参考値程度としてください。
実際の金額は、修理業者に見積もりをとってもらうようにしましょう。
雨漏り修理内容 | 費用相場 |
足場費用 | 15万~20万円 |
ソーラーパネル脱着 | 20万~40万円 |
ラック・支持金具の脱着 | 5万~20万円 |
屋根材・屋根下地の部分修理 | 10万~30万円 |
屋根全面リフォーム・その他補修 | 30万~150万円 |
足場費用
ソーラーパネルが設置された屋根の雨漏り修理には、必ず足場を設置する必要があります。
これは、厚生労働省が策定した安全基準法にも下記の通り記載されているため、業者が守らなければいけないルールとして定められています。
労働安全衛生規則(作業床の設置等)第五百十八条
事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法によ り作業床を設けなければならない。
2 事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜 落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。
引用元:労働安全衛生規則
一般的な30坪ほどの住居であれば、足場の設置と解体に15万円~20万円ほどの費用が掛かります。
ソーラーパネルの脱着
雨漏り修理をするために、ソーラーパネルをはずします。
部分的な雨漏りの場合、既設のパネルの配線を再び使用する場合もあるため、ラックなどに取り付けておきます。
ラックとは、ソーラーパネルが取り付けられる長い架台のことです。
ソーラーパネル脱着費用は20万~40万円程です。
ラック・支持金具の脱着
ソーラーパネルを取り外すと雨漏り修理に取り掛かります。
雨漏りしやすい場所としては、屋根材・屋根下地材に穴を開けている支持金具部分となります。
支持金具は、屋根にソーラーパネルを取り付けるため、屋根材に穴を開けて取り付ける金具のことです。
雨漏りの原因場所がわからない間は、支持金具を外さずに、雨漏り調査を行ってから該当箇所を見つけましょう。
ラック・支持金具の脱着費用は5万~20万円程です。
屋根材・屋根下地の部分修理
支持金具を外すと屋根材・屋根下地材の雨漏り修理を行います。
瓦屋根の場合は、支持金具部分に取り付けてある補強板が雨漏りを防いでいる役割をしています。
屋根材を剥がして、防水シートを張り替えたり、既存のビス穴をコーキングで埋める作業をします。
スレート屋根の場合は、部分的に屋根材を張り替えるため、屋根の棟部分からスレートをはがして防水シートを張り直し、新しいスレート屋根を葺き直します。
屋根材によって、部分修理の方法が変わるため、屋根修理専門の業者に依頼することをおススメします。
屋根材・屋根下地の部分修理費用は10万~30万円程です。
ソーラーパネル設置後に雨漏りを起こさないために

こちらでは、ソーラーパネルが原因で雨漏りをなるべく起こさない為に必要なことを記載していきます。
屋根一体型のソーラーパネルを選ぶ
上記でも記載したようにソーラーパネルには、屋根一体型と屋根置き型の2種類があります。
このうち屋根に穴を開けて、雨漏りの原因となりやすいのは屋根置き型のソーラーパネルです。
そのため、雨漏りのリスクを考えるのであれば屋根一体型のソーラーパネルを選びましょう。
ただし、屋根置き型のソーラーパネルには、低コストで設置できる点や発電効率が良いなどのメリットもあるため、それぞれのメリットデメリットを考えてから選ぶようにしましょう。
雨漏りや屋根の構造に詳しい業者を選ぶ
ソーラーパネルでの雨漏りは「施工ミス」や「業者の知識不足」が原因で発生しています。
そのため、屋根に対する専門知識とともに、ソーラーパネルに関する最新の知識を持ち合わせた業者を選ぶことが必要です。
ソーラーパネルを設置する業者は、基本的にはソーラーパネルの販売が目的であるため、屋根のリフォームに関しての知識や技術は持ち合わせていないことも多いようです。
そのため、設置の段階から屋根修理や雨漏り修理も請け負っている業者を選定するようにしましょう。
IDを所有している業者を選ぶ
上記とも関連しますが、業者を選ぶ際には太陽光発電における施工IDを所有している業者を選ぶようにしましょう。
これは、ソーラーパネルの施工や販売を行うために各メーカーが独自に付与する資格です。ソーラーパネルのメーカーは国内では10社以上、海外のソーラーパネルのメーカーも合わせると20社以上あります。
施工IDを取得するためには、各メーカーが行う研修に参加し、座学と実技試験に合格しなければなりません。
施工IDを取得することで、そのメーカーのソーラーパネルの施工が可能になります。
ただし、これは各メーカーごとにIDが付与されるため、設置するソーラーパネルのメーカーを決めてから業者を選ぶ必要があります。
手間は掛かってしまいますが、施工不良のリスクを抑えることができる業者の選び方です。
ソーラーパネルと屋根の定期的なメンテナンスを行う
ソーラーパネルを設置した後に、定期的なメンテナンスを行うことは非常に大切です。
施工会社によっては、メンテナンスサービスが付与されているところもあります。
屋外にあるため、自然災害の影響でいつ破損や損傷が起こるかわかりません。
また、ソーラーパネルだけでなく屋根にも負担はかかっているため、どちらのメンテナンスも大切です。
屋根の場合は、こちらは専門の修理業者に依頼してメンテナンスを行ってもらうようにしましょう。
この定期的なメンテナンスによって、雨漏りの可能性はかなり下げることができますので、数年に一度は行うようにしましょう。
まとめ
こちらの記事では、ソーラーパネルと雨漏りの関係性について解説をしてきました。
ソーラーパネルを設置すると、雨漏りがしやすくなるというのは、原因の多くが施工会社の施工不良によるものです。
そのため、まずはしっかりと信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
ソーラーパネルの設置は、取り組みとしても非常に素晴らしいものですし、利用者にとってもプラスになることが多いです。
そしてこの取り組みは、これから全国的に広がっていくと考えられます。
しかし屋根に負担がかかり、雨漏りの危険性があることも十分理解しておきましょう。
ソーラーパネルのメリットの部分だけでなく、デメリットや雨漏りの可能性も十分考慮することが大切です。
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