倉庫は工場のような大きなものから、自宅で物置として使用する倉庫など様々な大きさがあります。
工場の倉庫の屋根工事となると、大規模な工事が必要となりますが、自宅の倉庫であればDIYで修理できることもあります。
今回は、この倉庫の屋根修理について詳しく解説をしていきます。 屋根修理を検討している方はぜひ参考にしてください。
Contents
倉庫屋根の主な素材
まずは、倉庫の屋根に使われる屋根材の種類について見ていきましょう。
波型スレート屋根
波型スレートは、300坪程度の中小規模の工場や倉庫の屋根でよく用いられています。
主な素材はセメントで、畳程度の大きさの屋根を上下左右を重ねて張り付けています。
波型スレートはその名のとおり、断面が波(ウェーブ)の形をしているのが特徴です。
ただし、2004年より昔に製造された波型スレートには、セメントに加えてアスベストが含有されています。
そのため、解体や工事をする際にはアスベスト除去の専門業者に依頼することが必要となります。
耐用年数はおおよそ30年~40年程度です。
経年劣化が進むと、台風などの強風による飛散等が起こりやすいというデメリットがあります。
折板屋根
折板(折版)は、現在、工場や倉庫の屋根で最も用いられている屋根です。
鋼”板”を”折”り曲げ加工して製造された屋根です。
断面は山型の形をしており、金属素材には亜鉛メッキ鋼板(トタン)やガルバリウム鋼板、ステンレスなどが用いられます。
改修工事の際には、カバー工法で修理することができるため、その手軽さや費用面から多くの倉庫や工場で採用されています。
金属屋根
小規模の工場や倉庫の屋根でよく用いられているのが金属屋根です。
瓦棒葺き屋根とも呼ばれています。
戸建て住宅でもよく採用されていて、いわゆるトタン屋根がイメージとしては近しいものです。
こちらは自宅で使用する倉庫でも多く採用されています。
近年ではこれまでのトタン屋根ではなく、ガルバリウム鋼板が使われることが増えてきました。
ガルバリウム鋼板は「アルミニウム・亜鉛・ケイ素(シリコン)」という構成でメッキがされています。
トタンと比べると約4倍の錆びにくさがあり、耐久性や防水性も期待できる屋根材です。
倉庫屋根でよくある修理内容とは

それでは、倉庫屋根で良くある修理依頼について内容を見ていきましょう。
まずは、大がかりな工場や大きな倉庫でよく依頼がある修理内容です。
屋根塗装
まずは、屋根の塗装です。
屋根塗装をすることで、見た目を綺麗にするだけでなくサビを防止します。
サビを放置すると、そこから腐食して穴あきの原因となり、雨漏りに繋がるため塗装は必要なメンテナンスとなります。
特に金属のトタン屋根は、サビが発生しやすい素地であるため10年~15年に一度はメンテナンスした方が良いでしょう。
ただし、屋根の種類によっては屋根塗装が行えない場合もあります。
特に、波型スレート屋根の多くは、アスベストが含まれています。
屋根塗装の下準備となる高圧洗浄はアスベストが飛散するため、作業が出来ません。
そのため、波型スレートの屋根塗装の効果は限定的となるため、あまりおススメができません。
この場合は、次に紹介する屋根カバー工法をおススメしています。
屋根カバー工法
屋根カバー工法は、現在の屋根の上に新しい屋根を被せて覆う工法です。
屋根が二枚分となるため、重量が増えて耐震性が落ちる点がデメリットですが、既存の屋根を剥がす必要が無いため、費用を抑えられるというメリットがあります。
波型スレート屋根だけではなく、折板屋根も、金属屋根も、カバー工法による改修工事が可能です。
古い屋根をそのまま残した状態で改修工事が実施できるので、大規模な工事であれば、工場や倉庫が稼働していても工事を進めることができます。
屋根の張り替え
いわゆる葺き替えと呼ばれる工事で、既存の屋根をすべて剥がし、新しい屋根に張り替える工法です。
カバー工法に比べ費用や工事期間は掛かりますが、耐震性にも影響は無く、屋根修理では最も理想的な工事です。
ただし、波型スレート屋根はアスベストが含まれているため、別途アスベスト除去の費用がかかります。
特殊な作業が必要となるため、かなりの費用が掛かることは確認しておきましょう。
また、古い折板屋根は錆びたボルトが鉄骨の鋼材に強く固定されているため、取り外す作業に時間がかかります。
そのため、費用や工事期間を考慮すると、屋根カバー工法の方が選択されやすいです。
倉庫や工場の屋根の修理にかかる費用相場
では、倉庫や工場の屋根修理にはいくらくらいかかるのか相場を確認しておきましょう。
こちらは、工事する面積の大きさや、足場の費用、工事期間によって大きく変わります。
そのため、費用相場はピンからキリまであります。
特に工場や大きな倉庫の工事となると、数百万円~1千万円程の金額が掛かることもあります。
自宅の物置ほどの大きさの倉庫であれば、穴をコーティングしたり、屋根の一部を張り替える程度の部分修理であれば、1万円~5万円程度、屋根全体を葺き替える場合は10万~50万円程度が相場のようです。
数字としてこれくらいという相場を示すことが難しいため、まずは修理業者に見積もりを取ってもらい、しっかりと工事内容を打合せした上で、屋根修理を依頼するとよいでしょう。
自宅の倉庫であればDIYでの工事が可能

さて、ここまではどちらかというと工場などの大きな倉庫の屋根修理について解説をしてきました。そのため工事も大規模となり、費用も高額となります。
しかし、自宅で使用している小さいサイズの倉庫であれば、DIYで修理をすることが可能です。
ただし、DIYはあくまで応急処置となりますので、最終的には修理業者に依頼することは前提で行ってください。
では修理できるケースを見ていきましょう。
DIYで対応できる修理について

物置の屋根は、大がかりなものは専門業者に依頼した方が安心ですが、簡単な応急処置であれば、DIYで修理することも可能です。
こちらではDIYで修理できるケースについて紹介をしていきます。
- サビによっておこるわずかな隙間を埋める
- 小さな穴を埋める
DIYでは上記のようなケースであれば、修理や応急処置が可能です。
ただし防水機能の面では不安があるため、応急処置をしてもしばらくすると、破損箇所が広がったり、雨漏りが発生したりする可能性は高いです。
根本的な解決をするには専門業者に依頼することが必要になるため、DIY修理はあくまで応急処置程度であることを覚えておきましょう。
DIYでの修理方法について
では、実際にDIYでの修理方法について解説をしていきます。
DIYで修理できることが一番ですが、最も大切なことは身の安全です。
高所作業となることも多いため、充分注意して作業するようにしてください。
ブルーシートで雨漏りを防ぐ
屋根の雨漏り箇所がわからない場合、ブルーシートを使って屋根の広範囲を覆い、雨水の侵入を防ぎます。
広い屋根から雨漏り箇所を探すのは時間がかかるため、ブルーシートを使ってまずは応急処置を行います。
難しい作業が必要なく、すぐに雨漏り対策が可能ですが、シートが風で飛ばされないようにしっかりと土のうなどで対策することが必要になります。
ブルーシートを敷く手順は以下の通りです。
- 土のう袋に砂を入れて準備する
- 屋根に上り、ブルーシートを全体に敷く
- 強風で飛ばないよう土のうを置いていく
防水テープで穴をふさぐ
穴が開いている箇所がわかっている場合、防水テープを使って補修することができます。
該当箇所にテープを張るだけですので、非常に簡単な作業です。
しかし、ただ張るだけでは浸食が進んでしまうため、該当箇所を綺麗にしてから補修するようにしましょう。
また、ふさぐ穴が多い場合は手間が掛かる点も注意しましょう。
防水テープでふさぐ手順は以下の通りです。
- 洗剤と紙ヤスリを使い、補修箇所を掃除
- 補修箇所を乾燥させる
- 防水テープを補修箇所に貼っていく
コーキング補修をする
隙間や穴をコーキング材で埋める作業もDIYで可能です。 ここまで紹介した作業の中では、最も高い効果があります。
ただし、コーキングには多くの工具が必要となるため、手間や費用が掛かる点が難点です。 主な必要工具は、コーキング材・コーキングガン・プライマー・ハケ・マスキングテープ・ヘラといったものが必要となります。
また、作業手順も工数が多くなるため手間がかかります。
コーキング補修する手順は以下の通りです。
- 紙ヤスリで補修箇所を掃除
- 補修箇所の“周囲”をマスキングテープで覆う
- 補修箇所をプライマーで塗る
- コーキング剤で補修箇所を埋める
- ヘラでコーキングをなじませる
- 約1~2日乾燥させ、マスキングテープをはがす
DIYでの注意点
さて、ここまでDIYでの修理方法について説明をしてきました。
作業自体は簡単なものが多いですが、DIYを行う上では注意点もあります。
ぜひこちらも確認をしておきましょう。
危険が伴う
最も大きなデメリットは、危険が伴う作業であることです。
屋根修理は高所作業が多く、万が一落下してしまうと大事故に繋がりかねません。 そのため、修理の際にはできる限りの安全対策を施してから作業を行いましょう。
はしごや脚立を支えてもらうために、最低2名以上で作業することや、安全靴やヘルメットなどの防具も準備できると尚よいです。 安全に作業できることが一番ですので、しっかりと注意しましょう。
仕上がりが不十分になることがある
屋根修理は、作業前に破損箇所の撤去や洗浄、下地処理などの工程が必要になります。
慣れていれば問題ない作業ですが、もし不慣れのまま作業を行ってしまうと、仕上がりにムラができてしまい、不十分な仕上がりになる可能性があります。
仕上がりにムラがあると、再度修理を依頼する必要が出てきてしまうため、無理は決してしないようにしましょう。
補償がない
万が一DIYで失敗してしまったとしても、補償はありません。
専門業者であれば、万が一の時には補償がつきますが、自分で行った場合には補償は一切なく、時間もお金も無駄になってしまいます。
少しでも難しい作業が必要な場合は、専門業者に依頼した方が確実ですね。
まとめ
こちらの記事では、工場などの倉庫の屋根修理について解説をしてきました。
倉庫は大規模なものから、自宅で使うものまで様々な大きさがあります。
工場で使われるものは、大がかりな工事となりますが、自宅の倉庫であればDIYでも修理することは可能です。
普段はあまり目が届かない場所ですので、ぜひこれを機に定期的にメンテナンスを行っていきましょう。
不安な点があれば、ぜひ専門業者に相談をしてみてください。
コメントを残す